このコーナーは、宮地嶽神社のいち参拝者でもあり、歴史研究家でもある、古根和彦さんが連載するコラムを紹介してまいります。
参拝者 古根 和彦
全国に「宮地」という地名があります。
同時に神宮相当の大社、神宮以上の社が鎮座する地といった響きも伴っています。
そして、こと宮地嶽神社に関しても同社の鎮座地も元は宮地と呼ばれていたのではないか、そもそも、その「宮地」と言う地名が置き換えられたのが、「宮司」「宮司元町」「宮司浜」「宮司ケ丘」の四つの「宮司」ではなかったかと考えているのです。
まずは、現在、宮地嶽神社が鎮座している場所は「宮司元町」であり、残り三つも神社領であったと考えられそうです。
ただ、「ぐうじ」と読むか「みやじ」と読むか、古くはどうであったのかは、詳細に調べたこともなく今の所分かりません。一般的に「地名」には戸籍などがある訳ではなく、古文書に頼っても限界があり、解析は非常に難しいものです。では、「宮地」という地名はどのような分布を見せているのでしょうか?正確には解りませんが、概要はインター・ネットによってある程度把握できます。
「ウィキペディア」2016年6月9日 07:50 より ウィキペディア(みやじ)
宮地(みやじ・みやち)は、日本の地名。みやじ
青森県弘前市宮地 茨城県稲敷郡美浦村宮地 埼玉県鴻巣市宮地 岐阜県揖斐郡池田町宮地 岐阜県海津市海津町宮地 岐阜県郡上市和良町宮地 岐阜県下呂市宮地 岐阜県高山市国府町宮地 愛知県一宮市宮地 岡山県岡山市北区建部町宮地 岡山県久米郡久米南町宮地 岡山県真庭市宮地 広島県山県郡北広島町宮地 徳島県吉野川市山川町宮地 高知県高岡郡越知町宮地 熊本県阿蘇市一の宮町宮地 熊本県熊本市南区城南町宮地みやち
石川県鳳珠郡能登町宮地 岡山県加賀郡吉備中央町宮地
これ以外にも宮地という地名があろう事は容易に推測できます。
かつて、熊本県の天草下島に宮地岳町がありました。現在は平成の町村合併の結果、熊本県天草市宮地岳町となっていますが、それ以前は独立した宮地岳町だったのです。
さらに、同じ熊本県の八代市に宮地町がありますが、ここもかつては八代郡宮地村だったのです。
また、宮崎県高千穂町にかつて岩戸宮地村があり、歳大明神が祀られていた事が記録されていますので(日州 高千穂八十八社神明記)、このような例は拾えば拾うほど出てくるのではないでしょうか?ここでは「歳大明神」を祀るとされているようですが、祭神の入れ替えは良くある話であり、現地を踏めば、全く異なるものが見えて来ることになるのではないでしょうか?
では、本当に宮地嶽神社と「宮地」地名には関係があるのでしょうか?そのためには現地の探訪探索が必須の条件であり、具体的な作業が必要になります。勿論、九州内であればある程度可能かも知れません。ただ、時間的経済的余裕がなければ、そのような遊興は出来ない訳であり、普通は不可能な事になりそうです。ただし、インター・ネットを駆使して調べればある程度の成果は上がるはずで、今後、少しずつ試みて行きたいと考えています。
では、天草市宮地岳町には宮地嶽神社はあるのでしょうか?以前から気には掛けていたのですが、発見できず奇妙だなあと考えていたのですが、ようやく叶いました。天草市宮地岳町5316に阿蘇十五社宮地岳神社として鎮座していたのです。ただ、これについては長くなりますので本コラムの編集方針からして別稿とさせて頂きます。