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歴史コラム

【宮地嶽神社への神々の道 】宮地嶽神社の参道について 「筑紫舞プログラム」からの考察

このコーナーは、宮地嶽神社のいち参拝者でもあり、歴史研究家でもある、古根和彦さんが連載するコラムを紹介してまいります。

参拝者 古根 和彦

宮地嶽神社本殿前で奉納される筑紫舞をご覧になった方は、当日のプログラムとして配られる冊子に“平成28年宮地嶽神社「御遷座記念祭」”と書かれている事はご存じだと思います。

実は、十年近く足を運んでいる私自身、このプログラムの表紙に意識が向かわず、この事については全く気にも留めていませんでした。筑紫舞のプログラムに、何故、「遷座祭」と書かれているのかを意識し始めたのもここ一~二年でしたが、わざわざ問い合わせるほどの事でもなく、頭の片隅に放置していたのでした。遷座と筑紫舞、また、それが何時の如何なる遷座を記念したものなのか、単に遷座祭を記念して筑紫舞の奉納が始まっただけなのか、これらについては未だに分からずにいます。このため、勿論、その全てが理解できたと言った傲慢な話をするつもりなど一切なく、その一端が多少は理解できたという意味で少し触れて見たいと思うものです。

まず、遷座(動座とも言う)ですが、一般には使わない言わば業界用語に近いものです。もしかしたら、映画などでは、「御遷座、御遷座…」「動座じゃ動座じゃ」などとお公家さん達が叫んでいるシーンを見たことがおありになるかも知れません。無論、その意味は南北朝争乱期に於ける天皇の御動座です。

遷座
[名](スル)神仏または天皇の座を他の場所に移すこと。また、それが移ること。「御神体を新殿に遷座する」
デジタル大辞泉の解説

遷座祭(せんざさい)
神殿を新しく造営,修理する際,竣工後,神体を移す祭儀。遷宮祭ともいう。本殿から権殿へ移す祭儀を仮殿遷座祭,権殿から本殿へ移す祭儀を本殿遷座祭,また定期的に行われる遷座祭を式年遷座祭という。
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

動座
[名](スル)
1 貴人・神輿(しんよ)などが座所を他に移すこと。
2 相手に対する敬意を表すために座席を離れて礼をすること。
デジタル大辞泉の解説

この事が気になっていたのですが、筑紫舞終了後に宮司にお会いできる機会も得たことから、直々にお尋ねして見ました。
しばらく前までは、宮地嶽山上の上宮(宮地山山上古宮跡)からの遷座も含め、色々な古宮も考えていたのですが、宮司のお答えは明快でした。
相ノ島から延びた光の道正面に静かに鎮座する古宮からの御遷座だったのです。